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2011年12月20日 (火)

ブリューゲルの動く絵

 個人的に結界が張られていて容易に侵入できない渋谷なる場所に行ってまいりました。
 結界やぶりのため巫女さんを連れて(妄想レベル高)。

 「ブリューゲルの動く絵」(The Mill and The Cross)、東京ではその一館でしか上映していない。

 結論。

 このレフ・マイェフスキ監督は、さすがに画家のブリューゲルを超えることはできなかったような気がする。

 一言で言ってしまうと、視点がとても面白いのにも係わらず、一方でそれがあまりに「優しすぎ」ます。んー、言っちゃうと「甘すぎる」かな。

 とても面白い視点とはもちろん、ジーザスの処刑などというような「人類史上稀に見る一大事」であっても、庶民大衆は情けないほど簡単にそれを(その意味を)見逃す、という指摘がテーマのひとつであるところ。

 作中セリフは極めて少ないのですが、ブリューゲルと数少ない会話を交わす裕福なパトロン(ペイトロン)の銀行家は「ジーザスのお与えになった慈悲と愛を人間(の統治者)は台無しにしやがった」と憤ります。つまり、彼は「私たち」ですね。現代人の特にクリスチャニティー文化の人たちを代弁している。そして(ここが大事だが)、私たちのまさにそういう「思考停止ぶり」まで見事に再現してくれている。

 作中は16世紀フランドル(ベルギー)ですから、ここでジーザスを処刑するのはローマの執政官の手先ではなく、当時の支配者ハプスブルグ家(スペイン)の手先。深紅のガウンを纏ったスパニッシュ・インクイジター(異端審問官)の傭兵たちである。モンティー・パイソンはこの場合関係ないぞ。

 だが作中のブリューゲルは、そうした統治者の横暴はもちろん描くにしても、たった今ゴルゴダに連れて行かれようとしているジーザスから、登場人物全員の視点が外れているデッサン(元になった絵画もそうである)を見せ、面白そうに言うのです。「でも人々は、たまたま十字架を担ぐように命じられたシモン(サイモン)に注目し、誰もジーザスに注意を払わないんだよ」

 「優しすぎる」というのは、そういう目先のことだけにかまけている、どうしようもない庶民・大衆への厳しいまなざしが貫かれるのか、と思いきや、映画の最後は農民、庶民たちの特に意味のないダンスで終わってしまうこと。
 まあ、ブリューゲルが農家の人々の生活ぶりをことさら描き続けた画家であるという点に注目しているのだろう。そういう農民の生活描写がちょっとしつこいかなあ、という気もしました。えーっ、それでほったらかして終わる作戦なのかよー。

 ということでテーマは期待したほどザクザク心に刺さるものではなかったが、とてもよろしかった点がいくつか。

 まず、建物、衣裳、小道具などのリアリティ。 

 もちろん16世紀ベルギーなど住んだことはありませんからリアリティってのは、現代日本人が勝手に想像する、「あー、やっぱそうだったのかあ」というレベルに尽きるのですが。
 連れの巫女さんに言わせると、現代日本人にはきっと耐え難いほど不衛生だよね、とのこと。確かに。桶一杯の水があんなにも貴重なのだね。日本人には到底理解できません。

 Skyrimなどに登場する様々な小道具。本当にSkyrimの世界そのままに、色々登場します。パン、カップ、ゴブレット、器、ポット、きこりの斧、かなづち、ボウガン、鎧、かぶと、楽器、剣、ハルバート、剣研ぎ(ウェットストーン)、もう数え切れない。「あ、Skyrimと同じや!」と声を出しそうになったことが何度か。

 衣裳もガウン、寝具、帽子から、ブーツ、木靴、小物に至るまで、なるほどそうだったのか、といちいちうなづけるようなデザインになっている。ブリューゲルの絵画に登場する全ての人物(500人くらいいるのだそうだ)が必ず登場していますから、衣裳のヴァラエティも絵画と同様に豊富です。

 それからとても「絵画的な」画像。

 題名にもある、ミル、粉ひき工場などはちょっと忘れられないくらい強烈な印象が残ります。騒々しいほどの大音響も計算づくなんでしょう。

 それだけじゃない、ちょっとした朝靄の風景(やがてインクイジターの傭兵どもが乗る馬の一団が現れる)とか、きこりが木を切る(ジーザスを吊るための木材用であることが後にわかる)森林のシーンの素晴らしさとか、ただただ牧草地が広がる場面であるとか。
 セリフはいろいろな意味で抑え気味(というかまるでパントマイム劇のようにほとんどありません)になっているが、そのことが物語性を損なうことにはまったくなっていないのには感銘を受けますね。
 絵画の中に人物たちが溶け込むことを意図したような合成画像も多用されていますが、そんなものより自然に自然を(天然を)切り取った画像のほうがやはり美しいね。

 物語は、ジーザスの処刑などというテーマであるから、難解すぎてなんども見直さなければならないものかと身構えたが、そうではない。非常にストレートでわかりやすい。
 だが画像のほうは、何度でも見たくなるような美しさを有している。

 さて、これでブリューゲル祓いはできたのかしら・・・。

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