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2011年12月 1日 (木)

ラノベ考察(5)

 一番最初に、いい感じで出遅れていた(無意識裡に必死に視界に入れないように努力していた)ラノベに触れてみようと思ったのは「このラノ」を立ち読みしたからと書きました。

 そのランキングを盲目的に参照しつつ、読む順番を決めたつもりだったんですが、ここにきて私にもからくりがわかってきた。
 激烈でケイオティックな戦場でこそ、兵士はあっという間に熟練(seasoned)し、古参兵のような顔をするようになる。もちろんまず血のオマハ・ビーチを生きて通過することが前提ですが。

 どうやら手法が刷新されたらしいランキングを注意深くみると、これ三つの成分の合成なんですね。一般の不特定多数のネット投票(マス)、目利き集団(ファースト・ムーヴァー)、そしてフォロワーのリサーチ。総数もたいしたことはないし、作品によって成分ごとの好み(人気)がピーキーに分かれていることを見落としていた。
 たとえば「キノ」くらい私だってアニメで知ってる、ぱかしゅるな、ですが、フォロワー、すなわち初めてラノベを読む中高生のマイ・ファースト・ラノベはそれが定番なんだそうだ。驚愕した。
 そっからはいるのか・・・。すげえとっから入るんだな。ナロウ・パス。デス・スターのトレンチに強行突入する共和国側勢力の爆撃隊か。それがパク・・・、いやインスパイアされた633爆撃隊、ナチスの原爆用重水工場を秘密裏に攻撃するため、飛行すら困難なノルウェーのフィヨルドに侵入するモスキート爆撃機か。

 生きて帰ってこれるのか。

 そしてご想像のとおり、目利き(権威)に対して、私はまずヘイトの感覚を自動的に抱くことにします。権威は暴力だから。

 つまり、私だけがこれをわかるの、私だけ知ってればいいの、はキライ。
 「雨乞い」そのものの否定でもあるから。もちろんプライド(=悪徳)はカケラも持たないけど、そんくらいの矜持(=美徳?)は持ち合わせている。あと、ひとりでやってるの寂しくね?

 だが世の中、やはり権威には弱い。やがてファースト・ムーヴァーのそれがマスに浸透し、本来的な人気を獲得し、いやでもフォロワーに流れていくという図式は間違いなくあるのだそうだ。 

 一位「SAO」と二位「とある魔術」はすでに読んだ。三位「ベン・トー」、四位「円環少女」にはただならぬ殺気(妖気)を感じて一旦パスって五位「バカテス」を選んだ。六位「はがない」は当然次に読む準備をしていて、七位「丘ルト」にもリスキー・フラッグ。八位ラノベのフラッグシップ「ハルヒ」は煮え切らない背中を押されたので次読むけど、概ね私のリスキー・センサーもまんざらではないな、とちょっと満足。ひとりで喜んでるの寂しくね?

 つまりざっと言うと「目利き」が推しているものを「リスキー」と判断していることになる。

 「ベン・トー」はまさにそうだ。経時的にランキングをのし上がってきたのもマスに浸透していったからだろう。
 「円環少女」は完結したらしいので、そのご祝儀票もあるだろうけど、これもSFの目利きがイチオシだそうで、それを知って「ふっ」と鼻で笑った。見切った。しかも(まとめて再版する気か)新品はAmazonでは入手できない。ま、第一巻一冊は一日で読めてしまうのではあるが、ここまで一辺に読む時間を作るのも大変。後回しにできて丁度よかったかも。

 「ベン・トー」って、「ベン・ハー」のもじりかな、それ古くない?と思いつつ読みはじめた。
 実際の中身はリドリー・スコットの映画「グラディエーター」であった。
 作者が述べているように、「ラノベのお約束を片っ端から外す」という意図がありながら、その「お約束をはずす」のが「いいね」ってことなんだろうね。

 脱線しますが、今まで読んだものに共通して言えること。それは食への並々ならぬこだわり。それも飽食の時代の洒落たクッキングものとかスノッブなグルメものなどにはない、素朴な、生のままの食欲をぐっと突きつけるような感じの表現。

 料理、食材、調味料、お菓子、などなど。これまでのどの作品も例外なく、(プロットと直接的に関係はないけど)頻繁に話題に出てきて、まるでそれがキャラクターの人格設定にとてつもなく大事であるかのように扱うこと。いやもちろんリアルでは大事ですよ。でもそんな書き方はラノベといわれる作品以外にあったのかなあ。きっとコアの読者はそれが普通だと思っているんだろう。飽食しか知らない私からすれば驚き、発見だ。

 半額弁当を手中に収めるため、毎夜スーパーの「領域」で凌ぎを削る<狼>たちの物語。
 なんのこっちゃ、ですが、ただそれだけ。説明終わり。

 領域内には最低限の「掟」がある。そこに展開するのは本質的には問答無用の肉弾戦、バトル・ロワイヤルではありながら、その「掟」を守らなければ<狼>とは呼ばれない。
 「グラディエーター」を連想したのは、あの映画の主人公剣闘士が遭遇するように「そら無茶だろ」という敵(ライバル)が次々と登場するから。ルール無用。人数比無視。集団戦おーらい。目的はただひとつ。闘技場の中で最後に両足で立っていること。

 主人公たちは、「掟」は頑なに守りつつ、半額弁当を手に入れることのみに血道をあげる。
 なんの意味があるの? 半額弁当をおいしく食べるため。それだけ。
 お金がないから? 最初はそうだったの。ゲームとかコミック買っちゃって生活費がカツカツになるからだった。でも、肉弾戦で被った傷に貼る絆創膏とか買うと、なんかぜんぜんペイしないのよね。
 では「半額弁当」はこの場合、置換可能なのか。目的は実はなんでもいいのか。
 そこが味噌。あ、味噌煮とかけてないよ。おやじ扱いやめてくれ。

 半額弁当じゃなきゃダメなんだよね。例えばスーパーで文字通り問答無用の肉弾戦でセール品を奪い合う「掟」のないおばちゃんたちの世界では成立しないのだ。なんでかな。

 後からおいしく食べるからなんだね。もっというと、主人公が半額弁当を手に入れそこなった日に決まって「どん兵衛」を食べる、そこにも秘密があるんだね。それは確かに空しい。だが彼は惨めな敗残者では決してない。勝敗は兵家の常。
 そして合理的に半額弁当を手に入れる手法を確立し、しかもメンバー全員に行き渡るように必勝のチームワークを発揮する集団が登場する。だが彼らは<狼>ではない。あくまで<猟犬>でしかない。
  
 求道家の物語なんですね・・・。ごくごく自然な、本編でもしばしばリファーされているように、己の道を貫く格闘家の物語。群れない、諦めない、易きに流れない、決して魂を売らない。

 もちろん、いわゆるラノベぽい要素のシグナルはバンバンあがってますが、特に本編には関係ないものばかりですね。やおい、サドマゾ、フェム・ファタール、セガ・マニアとかあるけども。

 奴隷剣士としてやむを得ず命を賭ける「グラディエーター」と形式は似ていても本質的に異なるのは、主人公たちは敢えて好んでその道を進むようになること。<狼>という崇高な(!)境地に達した先達たち、(第一巻では、かな)名前すら語られない先輩たちを含めて、明示的にはなにひとつ教えてくれない。

 「ベスト・キッド」(Karate Kid)のダニエルさんが出会ったミヤギは、何でそんなに強いのかもわからなければ、最初は何言ってるのかもさっぱりわからない。
 「ベン・トー」の先輩たちも、まるでミヤギのように、そもそも日頃なにしてるかすらわからないのも奇妙に似ている。

 ミヤギがダニエルさんに告げたあのセリフ。
 自分の頭を指して「カラテ・ヒア」、胸(心臓)を指して「カラテ・ヒア」、帯の部分を指して「カラテ・ネヴァー・ヒア。アンダスタン?」
 いかん、書いていたら涙ぐんできた・・・。

 「ベン・トー」だったら? 

 胃袋を指して、「ベントー・ヒア!」なのかな?
 
 
 
 

 
 

 

 

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コメント

そうはいってもラノベの話ですから、少々ヒネた作品でも強烈な萌えやエンタメ性や共感ポイントやリーダビリティを高める工夫は装備してます。そういうとこを評価するわけですし。
あとはがないだと、自分は5巻を読んだ時点で作者に土下座したうえで志熊理科ファンに転びました。まあそういうこともあります。

 もちろん、10年遅れてきやがって第一巻しか読んでいない私に何を語る資格があるかという大問題に目をつぶっている点はご指摘(されたか?)のとおり。
 リーダビリティ。これ「制度」ですよね。たぶん皆さん編集にだまされてますよ。
 土下座。これ「萌え要素」ですよね。
 

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