フォト
無料ブログはココログ

« 第三艦橋へ。 | トップページ | 【ME3】Mass Effect マルチプレイ »

2011年10月10日 (月)

Dark Soulsで考えるマネジメント?

 もうすぐBlog移行なんで何書いてもいいことにする(ずっとやってきてるじゃないか)。

 Dark Souls をじわじわとプレイしていて、意外とまだ挫折していないことには我ながら驚きます。

 シナリオ上で「まじかよ?!」と腰を抜かしたのは何点かあったけど。Wikiもほとんど見ておらずにびくびくしながらプレイしているので、びっくりさせるための展開のたびにまんまと驚かされている。 

 さて、私のプレイなどどうでもいい。プレイ時間は30時間ちょいでまだ半分も終わってないはずだ。 

 
 またしてもミンツバーグ教授に登場していただく。そう、私自身のメモ代わりだ。そんなの読まされるのはたまらんと思うなら常に退席自由です。

 ミンツバーグ教授の最新刊は"Managing"で、これはまだざっと眺めたくらい。彼は30年以上前に、実際の組織(営利企業に限らない)のマネージャーたちの行動を観察して、マネジメントとは実のところ何か、マネージャーは一体何をしているのかをまとめた研究を世に出している。それが彼の出世作となった。
 新著は、組織を取り巻く環境が大きく変わり、インターネットが当たり前となった今の時代、その観察がまだ通用するのか、どこが変わって何が変わっていないのかを再度研究したものだ。どうしても固めの内容になる。彼の著作にしては珍しいことに日本語版もすぐに出ていたみたいだ。

 彼はだいたい同時期に、軽めのヴァージョン、"Management ?: It's Not What You Think !"(共著)という本も出した。ここではこちらの著作について触れる。
 

 彼の場合、何が最大の特徴、ユニークさかというと、なんと"managers"がキーワードなことだ。彼の研究対象は格好いいカリスマティック・リーダーでもなければ、最高経営者(CEO)にも限らない。マネージャー、すなわち世の中のどこにでもいる管理職まで含まれるのだ。(そして実は知見を活用できるのは管理職にすら限っていない)

 こういう論者は、実はそんなに多くない。日本で流行しているドラッガーのいうマネージャーは、(皆をガッカリさせて大変申し訳ないが)どちらかというと企業では最高経営者のことだ。なぜなら彼の言う「戦略」とは、この世でたった一回しか起きない、過去に例のない、未曾有(みぞゆうじゃないよ)の事態について対処する方策を考えることだから、ルーチンな物事に対処することは全て違う。M&A戦略? 新事業戦略? それだけで言っているなら全部違う。

 ビジネスが対処するほとんどの物事はいくら重大そうに見えても前例がある、ルーチンであるし、もしそういう未曾有の事態が(厳密には過去何度か発生しているので違うけど、例えば大震災が近いかもしれない)現に発生したとしても、対処する(戦略を考える)のはすべからく(全てという意味じゃないよ、当然という意味)組織の最高責任者のレベルであるから。

 わかりにくいよね。私も実は大震災までなんのこっちゃと思っていた。だが大震災自体は規模の大小はともかく過去何度か経験しているとしても、例えば(ノンポリでいきますが)、「核燃料発電はもうやめよう」というなら、これは「未曾有の出来事」だ。

 であれば過去には化石燃料への移行があったし、そして核燃料発電の普及があった。そういうものは人類史上一回しか発生しないだろう。銀河は何度も滅亡・再出発を繰り返してきたというMass Effectの世界でもない限り。
 ドラッガーが言っているのはそういうレベルのお話。だから今の日本に「戦略」がないというなら正しい。だがそれは「復興予算を捻出する戦略」なんかじゃなく、ポスト核燃料発電の時代が到来するとしたら国家は、企業は、国民はどう対処するのか、ということ。
 

 いやいや、女子高校生が考えたっていいんだよ? 誰も女子高校生が国民じゃないなんて言っていない。今のところ有権者ではないだろうが。だが、そういうレベルの話であるということは言っておきたい。  

 ドラッガーのように深い考察に基づいているかどうか知らないが、それ以外の多くのビジネス書、ビジネス・コンサルタントが語る「戦略」は、(結局お金を出してくれる)最高経営者、最高責任者に向けて言葉を発している。

 だから将来そうなるつもりでもなければ、(これもガッカリさせて申し訳ないけど)実はまったく意味がないものがほとんどである。ほんとすまん。

 ミンツバーグはそうではない。そういう世界に興味がおありなら、日本語版でもいい(読んでいないから保証はできないけど)、ぜひ眺めてほしい。  

 相変わらず前置きが長い。

**********

 先に、「ビジネスの世界にミリタリー・アナロジーを持ち込む一切の試みを疑え」みたいなことを書いた。そんな格好いい言い方はしていなかったけど。
 マーケティングは顧客を爆撃したり、狙撃したりするわけではないし、セールスマンは来客者を待ち伏せして殲滅するわけでもなければ、「ひとりも生かして帰すな!」とときの声をあげているわけでもない(自動車のセールスマンがそう叫ぶハリウッド映画は本当にありましたが)。

(ただし、本当にミリタリーのアナロジーを企業戦略に使うケースもある。例えばスターバックス・コーヒーは日本上陸に際して最大の敵ドトール(の高級店)の個店を地理的に本当に「包囲する」出店戦略を用いた。このように例外はある)

 これは(もちろん私以外にも言っている人は多いだろうし)ミンツバーグ教授が直接言っているわけではない。でももっと普遍的に「全てのアナロジーも疑っちゃえ」と言い切っても正しいかもしれない。
 

 本書ではまず、マネージャーの仕事について、誰もが思いつく「オーケストラのコンダクター(指揮者)」のアナロジーを疑う。ミンツバーグだけはなくてドラッガーはじめありとあらゆる論者が疑っていた。
 コンダクターには「スコア(譜面)」がある。マネージャーにはない。オーケストラは完璧な演奏をするとみなされる。どんなマネージャーでも完璧な仕事は望めない。例えるならむしろオーケストラのリハーサルである。誰かがヘマすれば、あるいは指揮者が満足しなければ演奏は何度も中断され、何度もやり直し、手を変え品を変えて「作りあげ」続ける。いつまでかかるかすらわからない。演者一人ひとりは生身の人間でもあり、それぞれに演奏以外の心配事も抱き、演者以外のクルーも仕事をし、スポンサーはコンサートの演目について余計な口を出し続ける。 

 意思決定は次のようなサイクルで遂行されると目され、信じられている。すなわち、define(問題定義)、diagnose(現状分析)、design(企画立案)、deside(意思決定)。

 一言で言えば、"Thinking first"である。まずじっくり、頭を使って考える。さすれば道は開ける。
 だが実際にそんな風に意思決定が行われていることなどあるだろうか? あなたの日常生活で? いや、ビジネスの世界は家庭生活や趣味・レジャーとは全然違う?

 考えている間にも事態は刻々と変化していないだろうか? 予期せぬ方向に動き始めていないだろうか。本当に事態を把握して将来を見通せているのか。逆に、そんなプロセスを経なくても名案が一瞬にしてひらめいたりしないだろうか。途中で浮気した発想のほうが良かったりしないだろうか。

 別な書物で、"conventional wisdom"というものへの批判があった。経済学者ガルブレイスが用いたのが普及のはじまりらしいが、日本語では「社会通念」などと訳されている。「良く行われる習慣」などのことだ。つまり「真実」とは限らない。もっと言えば「ちゃんと考えて行われている」わけでもない。
 

 そして未来学者でもあるガルブレイスが批判的に使い始めたことからもわかるように、もっぱら「不確実な未来を予測せざるを得ないとき、人々が頼る、拠り所にする発想」のことだ。

 日本語だとどんな言い方が一番近いのかな。考えているけど、ちょっと思いつかない。

 上記の意思決定のメカニズムなど、その際たるものではないだろうか。  

 この一見スッキリとした"Thinking first"の意思決定の発想に対して、ミンツバーグ教授は、もっとごっちゃごちゃで現実的な意思決定の発想として、"Seeing first"をあげる。モーツアルトによればシンフォニー作曲の一番素晴らしいところは「全体を一瞬にして心の中に浮かべることができる」ことだという。

 ゲシュタルト心理学によれば、創造的発明のステップは、preparation(しこみ)、incubation(あたため)、illumination(ひらめき) verification(たしかめ)である。
 訳語は申し訳ないが探しきれなかったので私。「しこみ」は他と語呂も悪いしとても苦しいが「ネタを仕込んで待ち受けていなければチャンスはやってこない」という意味。ネタ・知見は十分に蓄積しておかなければ目の前を大アイデアが通り過ぎても気づかず、発明には結びつかない。
 あとはおわかりいただけると思う。調べるとゲシュタルト心理学自体の主張は「人間の心理現象は要素の総和によるもの」だそうなので、ここに登場するのも当然といえば当然。 

 ではひらめきも、考えも浮かばなかったら?
 "Doing first"、スニーカー屋さんではないが"Just do it."、「実験」だ。サイクルは、enactment(実行)、selection(選別)、retention(保持)。

 先に書いたスパゲティー・トッシング、壁にスパゲッティーを投げつけて、どれが貼り付くか(残るか)眺めてみよう、という実験精神はまさにこの"Doing first"のことだ。一方でアナリスト氏が言っていたリスク回避行動というのは"Thiking first"。ここでまた登場することに我ながらビックリしているがそれも「しこみ」があればこそか。

 「手を動かせば頭がついてくる」という。「走りながら考える」とも言う。日本のコンビニ食品の商品開発手法をマーケティングの専門家は揶揄して「撃て、狙え!」という。いや正確には「狙い」なんてなにそれ、「撃って撃って撃ちまくれ!」か。「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」か。「当たらなければどうということはない」っつのもあったな。関係ないか。 

 私はユニクロの成功の秘訣は、もうこの一点ではないかと思っている。試行錯誤というやつだ。最近は苦悩しているそうだが、悪しきマーケティングの発想、すなわち"conventional wisdom"に毒され始めたのか。 

 ミンツバーグ教授によれば、90年代に(日本でも)流行った「コア・コンピタンス」なる発想に囚われた企業はその後軒並み苦悩したそうだ。変化の時代に自社の何が強みで何が弱みか、やってみなければわからない。"Thinking first"の最大の問題は「学習」を忌避することであるという。

 珍しくいい記事を読ませてもらったのでちゃんと日経新聞と呼ぶことにするが、「ソニーの覇権奪回?」について、「商品」ではなく「経営」(マネジメント)にしか興味がない出井の時代に凋落が始まったと書いてあった。卓見だと思うというか、ようやくそれが書けるようになっただけかな。

 そして、三つの意思決定のアプローチについてキー・ワードをまとめたものが次。 

Thinking first; Science, Planning, programing, The Verbal, Facts

Seeing first, Art, Visioning, imagining, The Visual, Ideas

Doing first, Craft, Venturing, learning, The Visceral, Experiences

**********

 それとDark Soulsと、一体どこが関係あるんだと? 

 プレイした(している)方にはおわかりいただけたのではないかと。

 Wikiをなぞってプレイしているなら別だが(それもご苦労さんだが)、私の当初のプレイパターンは、まず"Thinking first"であった。自分のアクション・ゲームの得意不得意からみて、打たれ強いナイト、ヒールも使える楯と剣スタイルを選ぶ。じっくりと作戦を練る。それで壮絶に頓挫する。思ってたのと違う!
 相手のこともわからないので、考えてもしょうがないことに気がつく。途方にくれる。せこくソウルを集めるべきかと計画を練る(Planning)。まあ、それもうまくいかない。うまくいかないように作ってある。
 

 でも考えていても一歩も進まないので、とりあえず"Doing first"、色々やってみる(Venturing)。
 繰り返すからプレイの腕前は徐々にあがる(Learning)が、特定のボトルネックではなかなかうまくいかないことが続く。
 しょうがないから寝る。飯を食いながら(ここだけの話オフィスで仕事をするふりをしながら)あれこれ思い出しては考えを弄び(Imagining)、「あ!」と妙案らしきものを思いつく(Visioning)。帰ってやってみる。うまくいかない。じゃあ少し変化させてみる。うまくいった! ここが"Seeing first"。

 
 もうその先で殺されてやり直さなければならなくなっても、(まあたまには大事なことを忘れたりしてあせったりするけど)もう作戦が確立している(Programing)ので、滅多なことでは死ななくなる。 

 私はただ、これを繰り返している。もちろん、まだ見てもいない場面であれこれ考えたりはもうしない(人一倍びびりはするが)。まずやってみる。

 そして、それがとても面白い。正直まだ見ていない部分をいずれ見ちゃうことになるのが、もったいないと思い始めている(そう簡単に先に進めないけど!)。

**********

 ミンツバーグ教授の教えを一言で言うと、 「考えてわかるほど世の中甘くない」だ。
 

 マネージャーの仕事は、椅子に深々と腰掛け、じっくりと瞑想に耽っているようなフォークロア(民間伝承)のイメージとは大きく異なり、ケイオティックで、メッシーである。マネージャーの仕事は混乱しており、しょっちゅう中断を余儀なくされ、「予定は未定のこと」を地で行っていて、物事がうまくいっても短命で、多岐にわたり、極めて行動中心である。 

 上で紹介した内容は本書のまだごく一部だが、全体を貫くトーンはそういうこと。他にも知見が得られた話があるが、それはまた。
 

 下の引用文は本書のもの。

 "If you're not confused, you don't know what's going on. " (ジャック・ウェルチ、GEのCEO時代)

 スズカのF1日本グランプリも終わった。私がいつも引用している元F1チャンピオン、マリオ・アンドレッティの名言も再掲しておく。ウェルチとまったく同趣旨だが、こっちがだいぶかっこいいから。

 "If everything seems under control, you're not just going fast enough."

 

 

 

 

 

« 第三艦橋へ。 | トップページ | 【ME3】Mass Effect マルチプレイ »

ゲーム」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: Dark Soulsで考えるマネジメント?:

« 第三艦橋へ。 | トップページ | 【ME3】Mass Effect マルチプレイ »

Dragon Age 2 プレイスルー

2019年9月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30