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2011年9月25日 (日)

ジャック・ヴァンス

 国書刊行会の「未来の文学」シリーズには、だいぶお世話になっています。

 サイファン・ファンとはいえ(だからか)、好き嫌いの極めて激しい私でも、刊行されたものの大半は手に入れている。大半は読んでいるとは言わない(笑)。読みたいものも遊びたいゲームも山ほどあるのだ。私に時間を下さい。

 先日にはジャック・ヴァンスの作品集「奇跡なす者たち」が刊行されたので即ゲット。

 これは珍しくすぐ読み始めた。やっぱヴァンスだしね。
 そもそも若い頃にこうしたジャンルを読み始めたのは、この本の編者でもあり、昨年お亡くなりになったSF翻訳者の浅倉久志さんのおかげであるのは言うまでもなく大。合掌。

 とかく「翻訳調」と揶揄される翻訳文学ですが、誰が訳しても無色透明なわけがない。浅倉さんの場合は、翻訳者にその人の名前があれば迷わず買っていた。そのうちあまりに慣れすぎてしまって他の翻訳者のものを読むのが一時期苦痛に感じたほど偏って読んでいた。

 ことサイファイに関しては、翻訳者がひどいせいで後続作品の翻訳が打ち切られてしまうケースまである。
 サイファイ出版社のくせに異常なまでにコンサヴァティヴなあそことかあっちとかに、浅倉さんはお読みになった面白い作品を企画として持ち込んでいたという。洋物サイファイを普及していただいたご恩は、一ファンにとっても計り知れない。
 

 生き残ったほうの共訳者(ってのも失礼な言い方だが)酒井昭伸氏に言わせると、日本では「好事家(こうずか)」しか読まないヴァンスだそうだが、もちろんあちらでは後続の著名なライターたちの多くに多大な影響を与えたその筋の大家。そこらへんはこの本の酒井氏のあとがきに詳しい。 

 でも今誰も読んでいないとか、さすがにそんなこたないっしょ、とAmazonで検索したら、確かに過去私が買い集めた日本語翻訳のものはほぼ全部絶版だ。
 
 生家の物置で全部腐ってなければいいが・・・。
 

 かあさん、エスエフは本当にだめになってしまったのでしょうか。
 

 吉報は(これも酒井氏の書いてあるものを信じるしかないのですが)、ヴァンス・コレクションが国書刊行会から登場する予定だとのこと。

 まさかあちらの全集のように全四十五巻とかじゃないよね、と一瞬ビビッた(金が惜しいのではない、保管する場所に困る)が、コレクションということだから「選り抜き」になるんでしょうね。

 「なにをひとりでそんなに舞い上がってんじゃい」、といぶかしげに見られても、唇とんがらせて古本でしか手に入らない作品を紹介したってしょうがないですね。

 「龍を駆る種族」(浅倉さん訳、改訳前)なんてガキの頃読んであまりの面白さ(世界観のぶっ飛びさ加減)に唖然としたもんだ。それから「大いなる惑星」、そして「冒険の惑星」シリーズなんかかな。講談社文庫のヒューゴ賞を紹介する企画シリーズ第二巻(注)にも名作ノヴェラ「最後の城」(浅倉さん訳)が収録されていたが絶版。
 「最後の城」は今回入手した「奇跡なす者たち」に再収録されていたがやはり浅倉さんが改訳。しかも講談社文庫版では重要な脚注が一部割愛されていたんだそうだ。

(注)しかし、Amazonでこの巻の表紙だけ見てもすげえなあ・・・。大リーグ・ALもNLも一緒くたにした往年のオールスター・クリンナップですよ。
 二作もはいってるエリスンはともかく、ライバーの「骨のダイスを転がそう」、ニーヴンの「中性子星」、そしてヴァンス「最後の城」とか。懐かしすぎる。

 ちなみにWikipedia(jp)によればこのシリーズの三巻目がとうとう出なかったらしい。伊藤典夫氏の執拗なまでに読み込みし、学究的なまでに正確さを追求する姿勢のため、担当したエリスンのある作品を最後まで訳さなかった(訳せなかった?)そうである。ナンバリング抜けていたのか。気がつかなかった。

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 ヴァンス作品の特徴は「異種間コンタクトもの、戦争もの」とジェネリックな言い方をすると、「なにそれトランスフォーマー?」みたいに勘違いされるので、酒井氏の「奇跡なす者たち」のあとがきを引用しちゃおう。

 「奇妙な異文化の描写こそはヴァンスの真骨頂。ヴァンスが登場するまで、SFは文明を描くものであり、文化を描くものではなかった。異種文明とではなく、異文化との出会いを描く手法は、ヴァンスをもって嚆矢とする」

 これは相当エポック・メイキングであったようだ。そしてそれがあったから、影響を受けた後続の作家たち(シルヴァーバーグ、ル・グイン、レズニック、ジーン・ウルフ、ムアコック、ゼラズニイ、ダン・シモンズ、ディーン・クーンツ、ジョージ・R・R・マーティンなど錚々たるメンバー)の手によってサイファイは「歴史小説もどき活劇」から(少なくとも一部は)「文芸作品」に昇華していったんでしょうかね。
 

 アイザック・アジモフ個人をどうのこうの言うつもりはさらさらないが、かつてSF文明論の決定版、大名作シリーズと看做されていた彼の「ファウンデーション」(銀河帝国の興亡)は、今読んだら泣きそうなくらいタイクツ。

 浅倉さんと旧知の間柄でコンビを組むことも多かった伊藤典夫さんに言わせると、「一部のSFには賞味期限がある」そうですが、あきらかにその一例でしょう。

 「異文化」ではなく「異種文明」を描いた作品で最近のものでとても面白かったのはヴァーナ・ヴィンジの一連の作品群。だから、今ぜんぜん存在しないわけではないのでしょうが。

 また酒井氏によればヴァンスは色彩に関する造詣も深く、(色彩表現がとても豊富な言語であるとはいえ)鉱物系の色彩表現の少ない日本語では訳者泣かせな部分だという。
 「奇跡なす者たち」は共訳者たちがインテンショナルにそういう文字通り「カラフルな」作品を集めたと言えなくもないが、どこをどう選んでもそういう「しるし」が刻まれているのかもしれない。 

 別にあたしら関係ないじゃん、とか言ってもみーんな関係あるんですけどねー。
 

 上に列記した作家群からまた影響を受けて今日のサイファイ・ファンタジーのサブカル文化が発展しているわけだから。
 

(あ、そういえばサイファイ・リテラシーが高くなったことについては、筒井康隆先生が「浸透と拡散」という表現で説明しておられたそうである。なんかゲリラみたい(笑))
 

 結局、映画「アバター」だって、ぶっちゃければヴァンスの世界が行き着いた先なわけだ。「文化」ではなく「文明」しか描けなかったという批判があるというなら、まあキャメロンの限界ってことだ。
 
 「ハリポタ」は違うかな。「指輪」の系譜でもないし、珍しく系図に載らない(先祖のいない)作品ですね。

 DnDのかつての魔法システムは、一日に撃てる回数が決まっていて、撃ち尽くしたらまた一晩かかって一から覚えないといけない方式。これがヴァンシアン方式と呼ばれる。ヴァンスの小説からパクったことは周知の事実だ。

 つまりRPGを遊んでいるあなたもあなたも、みーんな恩恵を受けているわけだ。

 ちなみにジャック・ヴァンス本人は若い頃から眼が悪く、しばらく前から盲目となっていたが、ご存命で今も執筆を続けているそうだ。95歳かな。

  ヴァンス・コレクション、期待していいのかな。

 

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