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2011年9月 9日 (金)

ゲイツ・モデル、グーグル・ブックス

 えーと、いつまでも余談を書いていられるのですが、自分でもいい加減にしろという気もしてきました。
 最後にしよう。

 先に放り投げておいたビル・ゲイツ・モデルについて書いておこう。

 今や目新しいことでもなんでもないですが、「収穫逓増」モデル。

 経済学の教科書どおりに覚えていると、収穫は一般に逓減するんじゃないの? と考える。
 あるサイズの工場に労働者を追加投入していくと、(工場のサイズが限られているから)次第に得られる収穫増分が減少していく。限界生産力逓減の法則。一般には正しい。
 それから、このことは人間の感覚としても、なんとなーく判る気がする。「愛している」と何回も言われていれば効果は逓減する(笑)。いやアングロサクソンは違うらしい。言われ続けないと「不満が逓増する」そうだが。

 最初のリンゴを食べたときより、二個目のリンゴを食べたときのほうが効用が薄まる。最初のPSPを入手したときより二個目を(こないだ色違いを入手し、今度三つ目を買いますが)入手したときの悦びが低い。 
 これは「需要曲線がなぜ右下がりになるか」の説明のほうかな。
 まあいい、経済学の根底にある発想は「幸せや悦び(効用あるいは便益)は、いつまでも同じレベルでは続かない」だ。
 
 ビル・ゲイツ。

 収穫逓増のモデルを世界規模で実現した男。

 コスト(といっても一番最初のMS-DOSは既存OSの買収コスト+改修コスト)をかけてOSを開発・販売する。販売した一枚目のフロッピー(だったかな)にかかるコストは「全開発コスト」。二枚目はその半分、三枚目が全コストの三分の一・・・、となっていって、やがて販売個数(後述のとおりライセンス数といったほうが正しい)が増大すると一単位あたりの開発コストが無視できるほどになる。

 このあたり詳しい方も多いと思うが、ビル・ゲイツはMS-DOSのイニシャルの顧客であったIBMとの契約でうまく立ち回り、搭載したIBM PCの出荷台数に見合った「ライセンス料」を受け取る権利と、IBM以外にもOEM供給する権利を勝ち取った。
 
 IBM PC(準拠マシン、いわゆるIBMクローン)が爆発的に普及するにつれ、上記の収穫逓増モデルが壮絶な威力を発揮する。なんといっても元が人様のOSを安値で買収して改修した代物だから、開発コストはさほどかかっていない。それがみるみる薄まっていく。
 
 ビル・ゲイツのおとっつあんは、たしかシアトルの弁護士、法律家だったはずですが、息子のこの魔法のようなビジネスのからくりをはじめて聞かされたとき、「なんとなく冒涜的な感じがして気持ちが穏やかではなかった」と語っていた。たしかあちらのドキュメンタリー番組で親父さん本人がそう言っていたのを視聴したのですが番組名は失念した。

 別段目新しい概念ではないですね。「固定費が莫大」な事業、例としては公共事業、発電などもそうだが、同じように「収穫逓増」は目撃されます。
 「規模の経済」が存在するなどというときは、この「収穫逓増」が期待できる状態。

 また電話、PSP(インターネット、アドホック)などのネットワーク機器は一台では通信ができないが、二台以上になれば効用が高まる。これは「ネットワーク効果」、正しくは「ネットワーク外部性」(network externality)と呼ばれる概念で説明できる。簡単に言えば同一サービスの利用者が増えるほど、個別の利用者の便益が向上する。

 ネットワーク普及前であっても、IBMクローンとそれに搭載されたMS-DOSが爆発的に売れたのは、やはりこの「ネットワーク効果」のせいでしょう。アプリ屋だって同一基準でアプリケーションを造ったほうが数も出るし、ユーザーだって広く使われているアプリならこなれていて安心だと思うし、サポートもしてくれそうだしー(大抵の場合、うそだけどね)。

 「外部性」にはちょいと説明が必要です。経済学の基本モデルでは、二者間になんらかの取引が成立する場合には、当事者双方に便益があるとみなす。ところが、ある取引は第三者に対して便益(あるいは費用)を与えることがある。電話やネット加入者は、誰も他人の便益のために利用を開始するわけではないのですが、結果的に他人への便益(すなわち「正の外部性」)を提供することになる。
 「外部性」は、「価格」に反映されない便益(あるいは費用)のことであると言ってもいい。

 第三者に費用を押し付ける場合の「負の外部性」には、公害、森林伐採、過剰開発、核廃棄など環境問題なんかがわかりやすい例としてあげられますが、他にもモラル・ハザード、ただ乗り(フリーライダー)、色々あります。そろそろ本題と関係なく難しくなってくるので、ここら辺で。

 ネットを検索しているとわかるんですが、ITバブルのときには、自称エントラプルナーたちがこの「収穫逓増」を盛んに喧伝していたらしいですね。「シナジー」というような「鋼の錬金術師」でも口にしないオカルトも大流行。「等価交換の法則」はどこへいったんじゃいと?
 ま、「ネットワーク外部性」は「バンドワゴン効果」(注)と同じという説もあるので、当時、新規株式公開で一山当てようと、日本中の詐欺師が渋谷に集結したと見ればいいのか(笑)。

 (注)「バンドワゴン効果」とは、一定の支持を集めて「流行っている」とみなされていること、あるいは「勝ち組」と目されていることに対し、未参入者が乗り遅れないように我勝ちに参入してくることによって、より多数の支持を集めること。
 よく言われる逆のパターンは「スノッブ効果」で、「凡人どもが騒いでいるものなんかには乗らない、誰も手に入れていないものが欲しい」という行動パターン。
 ですが、これは実は「逆」じゃないですね。本当の「逆」は「アンダードック効果」。多くの者が「あれはダメ」、「負け組」、「死ねばいいのに」と思っている菅直人に対し、「そんなもんかね」と責め立てる多数に付和雷同する行動パターン。

 先日、私よりも年配のおっさんたちのちょっとした同期会の飲み会に、「お前は話がおもろいから来い」と呼ばれて飛び入り参加してビックリした。
 おっさんたちまで猫も杓子も軒並みスマホかよ!
 しかも、みんなぜんぜん使いこなせてねー(笑)。指が追いついてねー。

 ああ、私自身はスロー・ムーヴァーなので、まだドコモの古臭いケータイです。だってなにするにもPCで間に合うから。
 でも銀座・六本木のねーちゃんもみなスマホ。産経新聞によると2015年には60%がスマホ???

 それ、スマートなのか? いや、「バンドワゴン効果」の説明でしたね(笑)。

 そろそろ皆さん飽きてきて、ここまで読んでいる人もいなくなってきただろうから、大事なことを書こう。

 Activisionのボスが、「うちのCoDを餌に、MSがXBLやWindows Liveであぶく銭儲けてるのがうらやましい、いや、けしからん」という話を説明しようとしてたのですが、どうでも良くなってきたね。話のスケールが違いすぎる。
 「任天堂」は間違いなくゲームの歴史に名を残しますが、Activisionごときはどうでもいいかな。んー、WoWを擁するBlizzardには一応敬意を払っておこうか。

 ビル・ゲイツ(ウィリアム・ヘンリー・ゲイツ3世)、あるいはマイクロソフトは(ゲーム史ではなく)人類の歴史に名前が残ると思います。エポック・メイキングだから。
  
 ここから、ジョブズ・ファンの攻撃を覚悟することになりますが、彼は残念ながら歴史に名を残さないと思う。たしかに一世は風靡したが、そんくらいかな。特段新しい価値を産んだわけでもなければ、なにかを破壊したわけでもない。アメリカ人の自国愛、判官びいきはすごい、ということはわかりましたけどね。現在は強烈な「バンドワゴン効果」に支えられているが、泡沫の夢でしょう。喩えるなら、過去のアメリカの自動車王タッカーとかそんな感じかな。

 フェイスブック違う、ツイッター違う。

 以前にも書きましたが、マイクロソフトの次の候補はグーグルですかね。
 検索システム自体ではなく、やはりあの世界中の図書館蔵書、出版物を全部デジタル化するっていう構想は、「作者の著作権がーっ!」とか騒いでいる日本にいると、あぶく銭掴んだ成金の、金に任せたただの暴挙と思われるかもしれませんし、あくまで商売が動機であることは間違いないでしょうが、実現した場合のインパクトは計り知れません。学術研究のスピードがありえないくらい早まってしまう。
 日本のみならず海外からの抵抗がかなり強く、収集範囲を一旦英語圏だけに縮小している(調べたらフランス語は範囲に入っているようだ)。またそれに前後して画像、映像、地図情報、情報と名のつくものはなんでも収集しようとしていますが同じ路線でしょう。米国内を中心に大学図書館が蔵書を全て供出する動きも続いている。

 これも前に書きましたが、「知識」は人間の脳味噌の中にしか存在しない。口に出したり、手を動かして記述したりしたらそれは人間同士で交換可能な「情報」。
 人間の「知識」の多くは、他の人間と「情報」を交換することで形成されていく。
 グーグルが収集を画策しているのは、もちろん「情報」。
 そして人間は新生児の段階ではバカ。脳味噌空っぽ。誰でも一から知識を築き上げなくてはいけない。これまでも、(ヒューマン・オーギュメンテーションでも実現しなければ(笑))たぶんこれからも、その繰り返しですよね。

 何かを学ぶ人間は、まず先達が成し遂げたレベルまで「勉強」しないといけない。義務教育や教養レベルならいいが、学術研究となれば膨大な論文なりを参照しないといけません。これは書籍ベースでやると絶望的にタイム・コンジューミングです。
 グーグルの計画が実現すると、ここの生産性が圧倒的にあがってしまう。どのくらい効率化されるのか、ちょっと想像がつかない。

 これは以前書いたかどうか忘れたが、故司馬遼太郎さんでもどなたでもいいですが、日本の知識人は大量に蔵書を持ちたがりますよね。資料は自分の手中に納めないと気がすまない。フェティシズムかもしれない。墓場まで持って言っちゃう人はさすがにいないだろうし、没後は記念館とか公共施設に寄贈されて万人が利用できるようになるのかもしれないけど。

 資料を抱え込んじゃうのは、日本の図書館システムの欠陥(未発達?)のせいもある。本来図書館システムを司るべきであった大学が、日本ではユニヴァーシティではなく官僚養成国民学校でしかないからという批判もある。

 あちらの大学ですと、ビックリするような貴重な学術書籍の現物が、ふつうに学生に貸し出されたりしていますよね。昔の話ですが、私も何十年も前に出版されたビジネス関係のダントツに著名な書籍を他の学生(ブロンドの可愛いお姉さんだったなあ・・・、あ、いかんいかん)から「これ読んだー?」って「又貸し」されて「えーーーーっ!」となった(笑)。
 又貸しダメでしょ、とか言う前に、その前で平伏(ひれふ)しましたよ。現物だよ、現物!

 アメリカのユニヴァーシティが、ほんとに「世界」のためにあるなんてナイーヴなことは言いませんよ。もちろん「アメリカ国家」のためにある。
 でも、なんつうかな、知識への取り組み方が違うっていうのかな?

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