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2011年7月12日 (火)

カリスマ

 前ふりで軽く書くつもりが不気味に増殖してしまった。

 たかがブログに「まとめ」とか、なんか秩序重視の優等生ぽいので個人的にキライだし、これから演ずる落語のオチをマクラ代わりに冒頭に出してしまう円蔵の得意技の二番煎じのようだけど、このクソ暑い夏に他人のどうでもいい思考垂れ流しを読まされるのが苦痛な人もいるだろう。
 一応つけとこう。

**********

・私はSteamがキライだ。なぜなら「ただ乗り」(フリーライダー)だから。

・だがデジタル・ディストリビューションがリアルのリテールに最終的に勝ってしまうのは様々な観点から考えて自明である。少なくともPCゲームに限って言えば。

・そのわりにはSteam創業後すでに5年経過した今でも圧勝はしてないのはなんだろうね。
 産業の変動にはいくらデジタル世代でも多少は時間がかかるのよ。その理由は例えばブロードバンド環境整備などの外部要因、あるいは旧来側の血のにじむような努力。

・アメリカ人は「ワンアイデア」で「親の総取り」って世界が大好きだ。アメリカン・ドリームってやつだ。

・Portal 2をいじってみて、Valveへの評価がいつもやたら高すぎると感じるのは貧乏人のやっかみではないと思う。いや、そうだといわれてしまえば終わりだが。

・つまりそれが「カリスマ」ってことなのかな?

**********

 Steamの何がいやかというと、結局のところお前ら最初から50%オフでも75%オフでも商売成り立つやんけ、というところですね。それを100%(例えば5000円、6000円)で販売しておいて当初計画達成したら、あとは日替わりでセール、ディスカウントを噛ませていく。

 DA2は今のところSteamではディスカウントがないようなので、当初計画を売り上げていないということになるのかな。悲しい(笑)。

 余談ですが(ってこのブログ全体が愚にも付かない余談ですが)、MMORPGの世界で「月定額課金システムはいずれ滅ぶ」という有力な説も、日替わりのアイテム課金システムを中心としたマイクロ・トランザクションがマーケティング・セオリー的に勝(まさ)っているからという主張が根拠になっていますね。
 何度も書いたからもう繰り返さないけど、コンジューマー・サープラスを吸い上げる点で後者が圧倒的に優位なのは間違いない。「無料」じゃないと遊ばない人のため、ご丁寧にフリー・トゥー・プレイ(F2P)のオプションまであるのだ。半端ないね。
 SteamはそのセオリーをPCゲームのソフトウェア自体に適用しているといえる。

 「文句言いながら買っている貴様は何様だ!」、とSteamに洗脳されて脳味噌ピンク色(?)になってる人はいうだろうね。なんのこたない、おかげさまで対抗するリアルのリテールがだいぶ弱ってきちゃってるのが理由なのよ。輸入物は特にパッケージの入手がどんどん難しくなってる気がしますね。

 パッケージ商売が古いとか、デジタル・ディストリビューションが世の流れだとかいった、ネタに乏しい大学生が卒論に書きそうなマーケティング史論など、ここではどうでもよい。そりゃあ、最終的にデジタル・ディストリビューションに流れ着くのは誰が見ても決まっている。自明だ。

 Steamではマイクロ・トランザクションの記録が全てただちに集計され、マーケのMBAなど販売戦術(セールなどはあくまで戦術レベルね)を練るアナリスト連中が自由にいじくれるんでしょう。いや見たことはないが間違いなくそうでしょう。そして翌日のセール方針を決める。

 リテールが劣位にあるのは、まずここ。ご自分でこういう世界を経験されていると身にしみるだろうが、リアルの店舗でこれやるのは絶望的にしんどいよね。しかも北米ではキャッシュで買うやつはあまりいないだろうが、支払い手段に小切手もあれば、クレジット、デビット、プリペイドなどのカードも無数に種類がある。店舗が広域にわたれば、その集計自体も苦痛。
 顧客の購買ヒストリーを取るのは大変だね。そのためリテール側は個人を特定することができるように会員特典を用意するんだが、それも万全じゃないし、それ自体のプロモートも必要で、会員集めと、会員のデータ集めとなんだかどっちが大事なのかわかんなくなってくるのも世の常。いや見たことはないが間違いなくそうなるでしょう。そんな状態で来月の方針だって決めるのは至難の業だ。
 小売で圧倒的優位にあるウォルマートは実現してるだろうが、それこそウォルマートだからできるんだ。

 今流行りのエコで言っても、Steamのサーバー及びサーバー施設の電源代金を考えたって、「リソースが大量に無駄になる可能性が必ずある」パッケージ商売のほうが劣位であるのもこれはしょうがない。事実はともかく、イメージ的に負けだ。リアルの場合に無駄になる可能性のあるリソースにはもちろん、シッピング・ハンドリングの全工程で無駄になるもの(例えばロジスティックス、エコでいったら運送用燃料)を含む。卒論書くならそのくらい気が付けよ(誰も卒論なんて書いてないし!)。

(しばしばSteamのセキュリティが賞賛されるが、ここでは本質とはあまり関係ない。前にも書いたように不正な手段でゲームを入手する連中は潜在顧客ではない。仮に不正な手段を全て封じられたら、彼らのほとんどはブロックされたゲームを一切遊ばなくなるだけ。渋々でも定価を払ったりゼッタイしない。簡単な話だ)

 ただし両者の優劣はおのずと決したといっても、産業の変動には少し時間が必要だし、Steamに参加するかしないかを決定するのはあくまで(ディストリビューション上の強みを全部は放棄していない)パブリッシャー側だから、この変動は比較的緩やかに進む。デジタル時代の「穏やか」だから概ね昔の六分の一くらいかな? Steamの公式リリースは2004か2005あたりだから、まだ5年ちょっとしか経っていないが、6倍すると30年(笑)。リアルのリテールは劣勢にもめげずかなり奮闘しているのかもしれない。

 まだ力のあるパブリッシャー、例えばEAなどは、Steamにデストリビューションの強みを丸ごと蚕食されていることについにキレてしまって独自のサイトを立ち上げた。Crysis 2はもうSteamでは売ってあげないんだって? それもこのハルマゲドンの一環なのでしょうが、やるなら最初からやれよ。Steamで買ってしまったお友達の面倒どうするんだよ?

 意外と勝敗が付かないね、という理由の一つには外部公共財、私たちがごく普通だと思っているブロードバンド環境が、実はまだまだユビキタスじゃないという点も考慮しないといけない。そちらは公共財であり、かつハードウェアの問題だから、なかなかあっさりと普及とは行かないからね。Steamにはまだアウター・スペース(アンノウン・スペース)があるのだ。

 また旧来側リテールのディストリビューションも(旧来のテクノロジーに敵側の新規テクノロジーも織り交ぜて)必死に効率性を極めていく。ネットでパッケージを発注して(今程度のコストで)間違いなく入手できる(先進国中心の)世界に住んでいるから、このすごさなかなかわからない。
 かつてはUSポスタルだろうがロイヤル・メールだろうが、インターナショナルで注文して、ほんとに手元に届くかどうかドキドキもんだったんだ。郵便局もしなくていい余計なことしまくっていたしね。 

 UKのサイトに注文してロイヤル・メールが配送してくれた私のDA2シグニチャーUK版パッケージは、例の震災直前におそらく豪州くらいまで(あるいはナリタまで)到着していたはず。震災後のケイオスが一段落して、しばらくしたらひょっこり届いた。
 あの経験は昔で言ったら奇貨。紛失事故として諦めていたはずなのに届いたら感涙にむせび泣いていたはず。でも21世紀の洗練された国際ロジスティックスの世界で考えると、まあ届いて不思議はないかな。自分の置かれた文脈のせいで、やはり感動はしましたけどね。

 なんだ、Steamが高すぎるとか騒いでいるお前がケチなだけじゃないか。パッケージで買ったってデジタルだって効用は同じだろ? 同じ価格でいいじゃないか?

 私はなけなしのお小遣いを(ヴァーチャル的に)握り締めて、渾身の一撃(というメタファーで)、"Buy Now !"のボタンをクリックしているわけでもないので、「高すぎる」論もここでは無縁だ。ゲームくらいなら好きなだけ買える。

 Steamは別に「不当に」利益を上げているわけじゃない。だが「ワンアイデア」で莫大な利益を上げている。
 チャネルを築いてルールを決めてしまえば、あとは中で何がどうなろうがしっかりあがりを手に入れる。つまりギャンブルで言ったら「胴元」、「親」である。

 その点で、会計上の利益はまだあげていないだろうけどfacebookに似ている。両者は何が「無敵」かというと、Steamもfacebookもコンテンツそれぞれに対してなんの責任もなければ、中で何がどうなろうが知ったこっちゃないことだ。

 Steamの場合、リスクをとっているのはパブリッシャー側。「胴元」は開発サイド・提供サイドのリスクを一切負わずに「ただ乗り」(フリーライダー)の世界を享受できる。
 しかもリアルのリテールの販売逸失のリスクまで込み込みの「定価」で売っている。Steamに販売逸失なんて元からないのに。

 本題とは関係ないし、そもそも私ごときにゼッタイ解けない命題なんですが、実はここがチャネル戦争の最大の「ジレンマ」でもある。
 だったらSteamは「オンライン販売で販売逸失リスクもロジスティックスコストもないんで、例えば適正価格で売ります。新発売も全品50%オフ、75%オフからスタート」とやるべきなのか?
 そんなことしたらリアルのリテールが死んじゃう! いやブロードバンド環境がない人たちとのダブル・スタンダードになっちゃう!
 つまり旧来側が必死に生き残ろうとすればするほど、Steamの生存は安泰であるという、非常に稀有なチャネル戦争の様相を呈している。ここまでくると「フリーライダー」どころか「寄生」になっちゃうが、私はそこまで罵るつもりはない。産業の変動時期にはつきものなんでしょう、きっと。

 アマゾンのおかげで、元々(国民が余り本を読まないので)少数寡占でしか生きられなかったアメリカの書籍販売店は壊滅した(すでに歴史的事実)。あっちは注文さえできればいいのでブロードバンドなんていらない。だから衝撃の範囲もマグニチュードも破壊的。だが、元々書籍をあまり読まないアメリカ人に読書の楽しみを再確認させた効用はあったのかもしれない。それもまた本題とは関係なかったね。そしてアメリカを笑ってばかりもいられない。いずれ日本も後を追うかもしれない。 

 「ワンアイデア」で「親の総取り」っていうドリームは、「発明家」を手放しでアドマイアするアメリカ人にとって、このうえなく快感を呼ぶものであるようだ。どこかの自称発明家のアホ宰相とは関係ない。あれは発明家つうより捏造家だ。

 Portal  2は300万本行ったらしい。最初からディスカウントされたら買おうかと思っていて、丁度半額だったので入手した。(そうだよ、結局買ってるよ。買わなきゃ批判もできんだろう?)

 うーん。

 確かに前作Portalのプロトをひと目見たValveのニューウェル本人が、開発していた大学生(大学院生かな)たち全員をValveに雇ったという「神話」は有名だ。だがあれもニューウェルの計算されたスタンド・プレイだと思う。アメリカン・ドリームには「神話」が必要なのだ。
 ジョブズの神話のように。ゲイツの神話のように。
 
 だが、前作は(なんかのオマケで)タダでいただいた私が言うのもなんだが、今回あれでフル・プライス取るのか・・・。まぢか。マルチプレイは新しいけど、模様替え程度じゃないのか?

 ん? コンペティティヴな上級モードはともかく、あれがクリアできないってこたあないよね?
 あー、中にはいるのかな・・・。

 あたしなんざ、前作では、しばしマップを眺めて「あー、ああやって、ああするのか・・・」と、その手順を再現する労力に愕然として士気チェックに失敗し、セーヴして、エグジットしてしばらく放置ってのが常であった。気力・体力の衰えを感じてきた頃だったし(笑)。
 そうではなくて、一体何していいか皆目わからない、って手合いは・・・。ゲームやめたほうがいいかと?

 GameSpotやIGNなどの大手ゲームサイトが、ハリウッド映画並の開発コストを費やす「主流」ゲームが普通になってしまった今であっても、インディーズの開発会社がしこしこ作っている「軽い」パズルもの、「主流」とはとても呼べない古臭い2Dプラットフォーマーであっても、優秀なものに対しては迷わず10点満点で9点などの高評価を与えているのは、私は素晴らしいことだと思う。

 これも「発明家」びいきのアメリカ人が中心になって零細開発会社(あるいは個人)を後押ししてるってことだから。
 言葉を変えれば、「イノベーション」(ただしこれは思考停止用語だから取り扱い注意ね)を生むためには、ジーン・プールに多様性が必要であることを直感的に知っているということであろう。ゲームの世界では「なんだか変だよこれ?」は最良の褒め言葉でしょうから。

 そういう意味で前作Portalは、「なんだか見たことがない代物だけど、すごそうだ」という高評価を得たのはまったくもって「いい話」なんだろう。

 だが、Steamはもう立派な勝ち組、成功者だ。もうそろそろキビシメに評価したらどうなんだろう?

 ゼッタイ甘いよ。ValveとRockStarにはゼッタイ甘い。

 それがカリスマ性なんだろうかねえ、と最後に表題がようやく出てきて次回に続く(我ながら、手なりで好き勝手に書く無計画さに呆れる)。

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