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2011年3月 3日 (木)

【DA2】セバスチャン再び。

 シグニチャー・エディッションDA2を購入すれば漏れなくついてくるDLCのひとつが"Exiled Prince"。ボーナス・クエスト+ボーナス・コンパニオンというのはDA:OにもME2にもあった手法。

 http://dragonage.bioware.com/da2/addon/exiled_prince/

 また脚光を浴びているのは、シグニチャー・エディッションを予約で買いそびれたお友達も買ってね!ということかな。お値段はこちら。高いか安いかは個人の考え。

 PSN - $6.99 | PC/MAC - 560 BioWare Points | Xbox - 560 Points

 旧聞ですから、もういいよね・・・、と思って流そうとしたらゲイダーさんがまたこのNPCを主役にした短文を書いているw。
 もう、読むしかなかんべ・・・。

 ちゅうか、A4で三ページ。長いんですけどw。

「続きを読む」の下。

 既に探すのも億劫なくらい記事数が増えてしまった過去ブログの記事はここ。
 そのうちに、意味のある過去記事だけ整理しようとはしてるんですが、途中までやって放置気味。

 セバスチャンに関する説明、既報のものは次の記事で訳したとおり。といっても非常に限られた情報しかありませんけどね。

 http://vanitie2.cocolog-nifty.com/blog/2011/01/da2-3fe9.html

 ここにきて、セバスチャンを主人公(一人称)としたゲイダーさんのショート・ストーリー。ショート・ストーリーだけど結構長いのよー。
 王子の一人称・・・。「私」でいいのかな。

 **********

 王子だからといって、高潔に生きなければならないわけではない。

 両親の兵士たちが私をこの修道院に幽閉し、朽ち果てるまま置き去りにしたときから、自分自身にそう言い聞かせてきた。ヴァエル家の恥さらしと人は呼ぶ。兄がスタークヘイヴンの統治者となった暁には私は彼にとって耐え難い重荷となるだろうと。
 でも、なんの権力もない王子にとって、その称号をちょっとだけ利用して楽しみにふけることなんて誰だって思いつくことなんじゃないのか?

「セバスチャン?」 私の看守であり、父に死ぬまで忠誠を誓う親衛隊長リーランドの声。ああ、この場合は私が死ぬまでか。「今夜は他に何か必要ですか、殿下?」
「大丈夫だ」 立ち去ってくれ。一人になりたい。ちょっと間があって、それから彼が遠ざかる足音がホールにこだまする。毎晩のことだ。私がこの牢に留まり、お行儀よく、眠りにつくと思い込んでくれればいい。

 食堂の皿の下に挟んであった紙切れを開く。

"セバスチャン、ここに留まることがお気に召さないのは存じております。立ち去りたいとお考えなら、深夜裏口までいらしてください。誰も見咎めることのないように手を講じておきます"

 か細く、滑らかな筆跡は女性のものだった。一体誰の手によるものか、もう一度思いあぐねた。もちろん他の見習い修練者のひとりだ。いつの日か、祭壇に祈りを捧げていた可愛らしい少女を見かけた。彼女もまた意志に反してここに送り込まれたのかもしれない。

 扉を調べる。行儀良く振舞ってきたから、連中も施錠をしようとまでは思っていない。短く祈りの言葉をつぶやく。「アンドラステ、ここから出してくだされば・・・」
 皮肉な気持ちが沸き起こり、そこでやめた。信心がないからではない。私のやりかたで信仰は重ねてきた。子供のころからチャントを学び、どのくだりでも自在に即座に吟じることができる。「十分の一信仰」を続ける、というのが私が自分の信仰を指すため編み出した呼び方だ。

 私は正しいことのために立ち上がった。スタークヘイヴンに拠点を築こうとしていたテヴィンターの奴隷商人と対決した。領地のエルフたちには優しく接してきた。
 その見返りに、アンドラステは私を数多くの災難から救い出してくれた。女性の心を射止めたり、酒場の乱闘に勝ったりするため、アンドラステの助力を願うことに奇妙な感じを抱くことなど、今日に至るまで一度もなかったのだ。

 だが、彼女へのお勤めから逃れるために、彼女にすがることが本当にできるのか?

 ここから出してください、今度は声に出さずに祈った。さすればお望みのものは後ほどなんでも差し出しましょう。 
 私が老境に差し掛かった暁に。喜んで引退すると誓いましょう。祖父のように。だからここで私の人生を終わりにしないでいただきたい。

 ホールには誰もいない。アンドラステに祈りが通じたか、どの道知る術はない。
 弓を手にする。大尼僧エルシナが私の持ち物を取り上げないよう強く懇願してくれたおかげだ。メイカー、感謝いたします。

 ホールの遠い端の燭台が灯っている。矢を放ち、その芯を射抜き、暗闇が訪れる。しばらく待ったが誰も来ない。私の他には誰もいない。

 足早に静かに、アンティヴァン製の絨毯の上を走る。暗闇を動き回ることには慣れている。ホールの端の大きな窓は冬の寒さを締め出すため閉じられている。湿った木枠はなかなか動かなかったが、ひとたび肩で強くこづくと、一方の窓が夜のしじまに解き放たれた。
 カークウォールのチャントリーの外には樹木が一本もないが、つきは落ちていない。離れの建物のひとつは木造であり、私のたくらみのためには十分高さがある。

 腰のロープひと巻きもまた、謎の共謀者が用意してくれたものだ。一本の矢の矢羽の根元に固く結びつけると、放つ。素早く先ほどの祈りに補足する。さてアンドラステ、私を尼僧たちに捕まえさせようとお考えなら、どうぞご自由に。ただしあの矢が抜け落ちることのありませんように。チャントリーの窓から脱出中に落下して頸の骨を折るなんてこの上ないほど最悪の死に方だ。

 祈りはきっと届いたようだ。ロープは丈夫で、矢も頑丈、私の握力も申し分なく、心臓の鼓動一回分も経たないうちに、私は脚で窓枠を蹴ると、ゆっくりとロープを伝って降り始めた。
 ロープを掴むためには両手が必要なため、その間背中で無意味に揺れる弓が使えないことを呪ったが、すぐに頭を振った。もし誰かが見咎めたとしても戦うつもりはない。チャントリーの誰かが嫌いなわけではないし、皆善人で、心からメイカーに尽くしているのだ。私の不満は両親に対するもの、懲罰のため私をここに送り込み、禁欲を誓わせ、兄の子供たちと将来王位を争う恐れのある子供をもうけることのないように画策した両親に向けられているのだ。

 自分の自由のために何人たりとも殺めたりはしない。自分の命に価値をおくなら、それが誰か他の者の命を奪うことと釣り合うわけがない。

 地面に飛び降り、ブーツは泥にまみれる。そして今まで見ることのできなかったものが見える。チャントリーの壁の暗闇に待つ人影はひとりではなかった。私の謎の協力者でもないはずだ。彼女はひとりきりで、テンプラーの護衛などいないはずだからだ。
 一瞬、逃げ出そうかと思ったが、幼少の頃からの学びが強すぎた。この戦いに負ければ、少なくとも私は威厳を喪う。王子は決して逃げてはならない。

 人影のひとつが近づいてくる。女性で、灰色の髪と深紅色(クリムゾン)のローブを身に纏う。

「手紙をお読みになったようね」

 心臓が跳ね上がった気がした。この人が見習い修練者? だがすぐにその声の主に気がついた。実際のところ、私の人生のほとんどの間、この声を聴いてきたのだ。カークウォール、スタークヘイヴン、いやフリーマーチズ中のチャントリーを束ねる存在。グランド・クレリック、大尼僧エルシナ。

「か、閣下・・・」 口ごもり、ようやく言葉になった。「あなたが手紙の主?」

 大尼僧はテンプラーたちのほうを向くときびきびした口調で「二人きりにしてください」と告げたが、彼らは躊躇した。
「殿下が危害を及ぼすとでもお思い?」

 テンプラーたちは去り、暗闇にふたりだけ残された。

「あなたがあの手紙を?」 彼女は頷く。「ロープも?」 再び頷く。次第に私は腹が立ってきた。
「なぜ? 私がどれだけヤケクソかあなたに知らしめるため? これは笑える話なのですか?」

「あなたのお気持ちを察したから手紙を書きました」
「私はここであなたの慈悲に浴する者。こういう形で唆す必要が本当におありだったでしょうか?」
「セバスチャン」 彼女の声の鋭さは、その眼を正面から見据えざるを得ないほどであった。紫がかった灰色(ドーヴ・グレイ)の瞳は柔和で慈悲に満ちている。「アンドラステのお勤めを誓った身ですが、世の中の動きから目を逸らすことを誓ったわけではありません。
 あなたがここにおられるのはご自分の意志ではないのでしょう」
「私の信心が足りないからではないでしょうね・・・」 説明が欲しかった。

「わかっています」 彼女の声は低く、悲しみを湛えており、その言葉は真実であると感じられた。「ご両親はチャントリーを更なる政治目的のため利用しようとお考えのようです」 彼女はそこで少し口をつぐむ。「それこそ信仰心によるものではないでしょうね」

 彼女は私の片手を両手で掴むとその上で掌を開いた。コインがぎっしり詰った袋があった。中身を見るとすべて金貨だ。「あなたの名のもとに彼らがなした寄付です。今の人生があなたの望まないものであるのなら、これを使って別の人生を歩まれてはどうでしょう」 私が馬鹿みたいに口をあけたまま見つめていると、彼女は私の指を優しく閉じた。「メイカーにお仕えする道はいくらでもありますよ、セバスチャン。彼のお勤めをするために誓いをたてる必要などないのです」

 彼女が歪んだ笑いを見せると、顔の皺がさらに深くなり、それから彼女はチャントリーに歩き出した。彼女の手が扉に触れたとき、ようやく発すべき言葉が見つかった。

「でも、なぜ?」

 エルシナが振り向くと、月明かりがまるで輝く後光のように見えたが、それは決して偶然の産物ではなかったと思う。

「なぜなら、チャントリーに裏口から入る者など誰ひとりいてはならないからです」と彼女は言った。「決心できるのは他でもないあなただけです、セバスチャン。正面の扉はいつでも開かれているのですから」

 それだけ言い残すと、彼女は中に姿を消し、私は暗闇にひとり取り残された。コインの袋を見る。家族から、称号から、永久におさらばできるだけ十分にある。ずっと望んでいた人生、風任せに生き、好きなときに笑い、好きなときに愛をするのに十分なだけある。それから・・・。

 頭をいくつもの言葉が駆け巡った。役立たず、風来坊、自分勝手、孤独。

 リーランド隊長が私を見つけたのはとある酒場だった。あそこがメイカーとお会いする、つまりこの世とおさらばするのに適した場所であるはずがない。

 自分で気がつく前に足が動き出すと、私は暗闇から抜け出し、燭台の灯りと月灯りに煌々と照らし出されたところまで来た。
 「感謝します」 手が滑らかな青銅製の扉の取っ手を掴む前、私はアンドラステに囁いた。それからチャントリーに歩み入った。正面の扉から。

**********

 うーむ。
 長いといいつつ、一気に読めてしまった。

 こういうの割と好きっすねえ・・・。
 細部手直しすると思いますが、時間なくなったのでとりあえずアップしときます。

 ひとつだけ。「大尼僧」なんて職名が実際あるとは思えませんが、彼女への呼び方が your grace。貴族以外では「大司教」にしか使わないようだ。チャントリーの大司教でもいいんだけど、どうしてもアーチビショップというイメージが強い。
 原文Grand Cleric様なんで、Motherの尼僧と組み合わせて捏造。ちなみにチャントリーにはブラザーもおりますが(DA:Oに登場するジェニティヴィとか)、高位の職に男性がつくことは稀だったかったかもしれない。例外はオーレイでチャントリー全てを統括するザ・ディヴァインなる存在。これもうろ覚えw。

(追加)

 おっと、「十分の一信仰」も苦労した。原文は"I've tithed faithfully"で、もとはtithe、古代ヨーロッパの「十分の一税」でしょうか。「なんちゃって信仰」とか「ちょっとだけ信仰」でもいいかと思うけど、ゲイダーさんのことだから、ここは文字どおり「十分の一」が重要でしょう。

 というのも、かつてご本人が公式フォーラムで"decimate"について、最近の使い方はいかがなものかと苦言を呈していたから。

 これも詳しい方いるでしょうけど、「十分の一の刑」。古代ローマで行われていた、くじ引きで対象者十人に一人の割合で死刑にする懲罰のこと。軍隊の規律維持のためかな。
 これが最近のヴィデオゲームなんかの宣伝文句では「皆殺し」、「殲滅」、annihilation(アナイレイション)の意味に曲解して使われてるのが「なってない」とお怒りでした。十人に一人しか殺さない(10%)のと、皆殺し(100%)は全然違うと。

 よって、ここも「十分の一信仰」でしょうね。

 

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コメント

Dragon Age 2 の Codex で、その "decimate" が
「殲滅」の意で使われていましたw

Darkspawn overran the defenders of Ostagar
and decimated the king and his army.
(A STUDY OF THE FIFTH BLIGHT, VOL. ONE)

 ではゲイダーさんは自分ちのライターのことを非難してたんでしょうか?
 いまやフォーラム(それかインタヴューか忘れてしまってるし)元ネタ探すのきついんで勘弁してください。
 でも情報ありがとう。

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