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2011年2月11日 (金)

【DA2】報復という名の正義

 DA2コンパニオンに関する衝撃的な設定についての私見。

 「続きを読む」の下。

 Awakeningから再登場となるコンパニオン、はぐれメイジのアンダースの設定を訳そうとして、実はしばし手が止まった。

 訳はここ。

http://vanitie2.cocolog-nifty.com/blog/2011/02/da2-7f33.html

 同じくAwakeningのコンパニオン、フェイドの精霊ジャスティス(Justice)が、アンダースに手を貸そうとしてその体に憑依したが、アンダースのサークル・オヴ・メイジャイへの憤怒の感情のため、ヴェンジェンス(Vengeance)に変容してしまう。

 すでにOriginsをプレイされていれば、コンパニオンのウィンさんも同じくフェイドの精霊に憑依されていることをご存知だと思います。彼女の場合は実はすでに一回死んでいて、精霊の力で蘇生された。
 平井和正の「死霊狩り」という古いSFアドヴェンチャー小説がありますが、モチーフは全く一緒。あちらは憑依するのは異星の生命体ですが。

 まずDAのスピリットについておさらい。

 ウィンさんに憑依した精霊は、彼女によれば「フェイス」(Faith)、「信仰」の精霊です。

 フェイドの精霊には、この世(物質界)になんとか潜り込もうとする「悪霊」もいます。そうした悪霊はこの世界で生命体に憑依するとディーモンの姿をとることが多い。
 生命体に憑依できなかった場合、石、灰など手近な無生物を仮の宿としてレイス(Wraith)と呼ばれる存在になる。Originsではアッシュ・レイス、DA2では新登場のロック・レイス。
 何物にも憑依していない状態のディーモンはシェイド(Shade)と呼ばれる。
 プライドやディザイアなどの上級ディーモンが死体に憑依するとレヴナント(Revenant)と呼ばれる強力なアンデッド/ディーモンになる。

 ディーモンがこの世界に頻繁に登場するため、フェイドは「悪霊」のみ存在すると誤解する向きも多いが、実際には「この世」と同様、善き精神も存在する。ディーモンと異なり、よほどの事情がなければなかなかリアル世界に来ないだけ。スピリット・ヒーラーなどの召還に応じて一時的に顔を出すことはある。

 ディーモンがしばしば傲慢、欲望、怠惰、飢餓、憤怒などの「悪徳」の形をとるように、善き精霊たちもおおむね現世の者たちが理解できる「美徳」の形をとることが多い。
 上述の「信仰」もそうだし、Originsのメイジ主人公がハロウィングの儀式でフェイドに向かったときには「武勇」(ヴァラー、Valor)のスピリットに出会う。Wikiによればその他、「慈悲」(コンパッション、Compassion)、「不屈」(フォーティチュード、Fortitude)などもあるようだが、実際ゲーム内に登場したかどうか定かではない。
 ジャスティスも善き精霊で、その名のとおり「正義」を体現する。っても体はないんですが。

 だから本当はスピリット(精霊)はディーモン(悪霊)の上位概念なのですが、悪霊に対応する「善き精神」の日本語が・・・。「善霊」なんて言葉はないですよね。ないんで、このブログでは(Wikiでも)善い方の精霊を呼ぶときはスピリットとしています。
 これはよくあることで、例えば後述する「徳」もそのままだと「善きこと、美徳」を示すが、悪い徳は「悪徳」と断らないと通じませんよね。

 この手の話はDnDではさほど真剣に取り上げられず、ロード・ブリティッシュ(LB)、ウルティマの「八つの徳」のほうが有名でしょうか。ちなみにそれは・・・(調査中、最近物忘れがw).

 左に並んでいるのがウルティマの八つの徳(Virtues)。右が、それぞれを司る三つの理念(Principles)。訳は私のものなので日本語版訳とはきっと違うでしょう。特に「信仰」は間違いなく違うはず。

「正直」(Honesty)   「真実」(Truth)
「慈悲」(Compassion) 「愛情」(Love)
「武勇」(Valor)     「勇気」(Courage)
「正義」(Justice)    「真実」と「愛情」
「献身」(Sacrifice)   「勇気」と「愛情」
「名誉」(Honor)     「勇気」と「真実」
「信仰」(Spirituality)  「真実」、「愛情」、「勇気」の全てを満足した状態。
「謙虚」(Humility)    「真実」、「愛情」、「勇気」の全てを欠いた状態。「傲慢」(Pride)の対極 

 DAが、ウルティマをパク・・・、ウルティマにインスパイアされていることがもう明らかではないでしょうか。
 ただし、LBが優れているところは、やっぱ「謙虚」を持ち込んで、かつ三つの理念を全て欠いた状態であると規定したところ。これを最初に知ったときは衝撃でした。DAもさすがにそこはパク・・・、流用していませんね。

 いやいや、そんなよか前にモデルが、お手本があるんだよ。そりゃそうだ。クリスチャニティの教えですよね。「信仰」に「勇気」が必要なわけだから。「謙虚」を体得するモデルは羊飼いだから。
 または「南総里見八犬伝」で有名になった大陸国の八つの徳、仁義八行、「仁義礼智忠信孝悌」をそらんじている日本人は多いかもしれない。「礼」もそうだが最後の二つがしっかり儒教的発想なんですけどね。「孝」は親孝行、「悌」は優れた者を尊敬することで、一般に年長者を敬う発想だから。

 でもLB(なのか彼のブレインなのか)がここまでキレイにまとめたということは賛美して悪いことはないと思う。

 さて、頭の悪い学生みたいに補助線を引きすぎて設問が見えなくなってしまってはいけないw。

 報復は正義か? 正義の定義もままならないのに、これは少なくとも私ごときには解けないw。
 ちょっと言い換えてみる。
 「報復」(Vengeance)は「悪徳」なのか? 「美徳」なのか? そのどちらでもないのか。

 ちなみにwith a vengeanceとなると、報復という意味は消える。「猛烈に、すさまじい勢いで」となって、「まるで親の敵(かたき)みたいに」という日本語の言い回しとまったく同じ感じになるw。これは受けた。

 そもそも上の「徳」は状態、心の状況を表す概念が多い。もちろん「献身」は「犠牲」でもあるので、行動を伴うのかもしれないし、「正直」も「武勇」も客観的に観察できる行動以外で示すことはできない。
 でもその行動の動機づけになる内なる精神を示すと考えることも別段できないわけじゃない。

 「報復・復讐」から想起されるのは行動だ。精神を示すなら「復讐心」になる。調べるとvengefulness、revenge、vendetta(レリアナズ・ソングにも出てきたイタリア語)などが出てくる。

 「報復」が悪徳か美徳かという前に、そもそもこれは「徳」なのか? ただの行動ではないのかという違和感があった。
 であれば「復讐心」を抱くことが悪徳か美徳か、というほうが正しい設問になるのか。「報復心」という日本語はないはずだから。

 「目には目を」を持ち出すまでもなく、これは法律論の世界でもある。応報刑という発想では、刑罰は、少なくともその本質の一部は間違いなく「報復」であり、現代では国家が国民から報復権を取り上げて代行していると考えるのだそうだ。つまり現代日本では敵討ち(仇討ち)は禁止だし、USではリンチ(私刑)が禁止。
(前者は江戸時代には限定的に法制化されていたし、侍階級の特権でもあったので、「報復」という意味合いだけではなく、武士の「面目」、名誉を保つという意味も含まれていたそうだ)
 なお、本質の一部というのは、「犯罪抑止」という部分があるからだそうだ。すなわち「見せしめ」、「制裁」、暴力を独占する国家による恫喝ともいえる。日本の検察、最近話題の特捜がなにをやっているか、そう考えればよくわかる。

 だが法律の世界では発言も含めた客観的に観察できる行動しか相手にしない。復讐心を抱くことに関して罪を問われないどころか、上の応報刑という発想があるとすれば、それが存在し、尊重しなければならないことを認めていることになる。
 本当に法理が認めているのなら、美徳なのか。いや、さらなる悪徳を予防するためのやむをえない悪徳なのか。

 おそらく、より大きな悪徳を防止するための悪徳なんでしょうね。「憎しみは憎しみの連鎖を呼ぶだけだ」などというどこかのアニメのような陳腐な発想はとりたくない。だってなんの意味もなく身内なり知り合いが殺されたらたまらんでしょうが。(殺されたのが自分だったら死んだ後だから関係ないけどね)

 と、かほどさように理性的な話に感情論が入り混じってわけわからなくなってるのが、例えば死刑存廃の話のようです。

 vengeanceで引くと、"Heaven's vengeance is slow but sure."なることわざに行き着きます。
 「天の報復はいつかは必ずやって来る」、日本語だと「おてんとさまは必ず見ています」、「天網恢恢疎にして漏らさず」などの意味のようです。

 (ちなみに"Revenge is a dish best served cold."「復讐は冷めた頃が一番おいしい料理」ということわざも時間の概念が入っていて面白いですよね。逆に復讐心を長期間維持することがどれだけ大変なことかを示す逸話は、臥薪嘗胆でしたね)

 いや、そうじゃないでしょう・・・。結局お天道様に任せているとダメだから刑罰制度があるんじゃないの? とか神学論争、宗教論、あるいは哲学論になりそうだからやめよう。

 ただ、正義が「道理」を貫くことであり、かつ「天の報復が必ず来る」と期待すること、あるいは「必ず来ること」が「道理」であるとすれば、「報復」は正義である。そして正義が貫く道理は「美徳」、「根本的な徳」に違いないから、報復は「美徳」である。

 詭弁かな?

 DA2では、このアンダース/ジャスティス/ヴェンジェンスのテーマだけではなく、DLCのキャラクターであるセバスチャンもまた「個人的な復讐心」によって行動する。こちらはまさに仇討ち。
 アンダースのほうは、個人的な動機ももちろんあるが、システム、体制に対する報復、いわば革命的、あるいはアナーキーな動機もあるのかもしれない。
 DA:Oではヒューマン・ノーブルの物語が復讐譚であるともいえるし、ローゲイン/アリスターの物語もまた同じ。あのキーパー・ザスリアンの動機も復讐。細かいものまで数えればきりがない。意趣返しネタも沢山ある。 

 伝統的ファンタジー世界を現代的なテーマで味付けするのがDAの狙い、というゲイダーさんの発言をそのまま行ってるような感じです。

 もちろんDAに限らない。Mass Effectでは、ゲスとクォリアン、サラリアン・テューリアンとクローガンの間に、やはり復讐・報復についてのテーマが横たわる。ヒューマンと先進種族の間にもぼんやりとではあるが存在する。

 たしかに復讐ものが非常に人気のあるジャンル、テーマであることは間違いありませんから・・・。 

 ただ現実逃避のヴィデオ・ゲームでリアルの重たいテーマをこってりやられるとなあ・・・。

 

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